文楽を見に行きました。
第2部・名作劇場
「薰樹累物語(めいぼくかさねものがたり)」
豆腐屋の段/埴生村の段/土橋の段
「伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)」
古市油屋の段/奥庭十人斬りの段
「伊勢音頭恋寝刃」を見て、
私はちょっと、自分が日本人であることに自信をなくしました。
何人も(“十人斬りの段”ですが、確か8人)の人を切り殺した福岡貢が、
“忠義の人・正義の人”として描かれているのはなぜなのか?
昔の日本人は、この話のどこに感動してきたのか?
何の罪もない、油屋の女中の首が飛んだり、女の子の足が飛ばされたりという、
非常に陰惨な場面で会場から笑いが起こったけれど、
ここは笑うところなのか? 昔からずっと笑われてきたのか?
頭に数々のハテナが灯り、全く感情移入できず……。
私には受け継がれてきた日本人の感性がないのでしょうか??
「累物語」の方が、
谷蔵(与右衛門)の忠義心・三婦の男気・高尾の怨念など、
心からの理解はできないものの、テーマは分かりやすかったです。
累の顔は、高尾の怨念で醜くなった後も、ちょっと黒く汚れただけで、
やっぱり美人に変わりはないけどなぁ……、と思いましたが。